合成洗剤が環境に及ぼす影響

はじめに
 私たちの生活の中で当たり前にように使われている合成洗剤。合成洗剤にはどのようなデメリットがあるのだろうか?ここでは排水問題に焦点をあて、合成洗剤が環境に及ぼす影響について調べることにした。
(1)石鹸と合成洗剤の違い
1.pH が違う。石鹸はアルカリ性で pH 9 ~ 11 くらいだが、合成洗剤はほぼ中性。
2.水中での分解性が違う。石鹸は水中の微生物によって分解され、炭酸ガスと水になるが、合成洗剤は分解されるまでに多くの時間がかかり、石鹸の比ではない。
3.成分が違う。石鹸は油脂とアルカリからできているが、合成洗剤は主に合成界面活性剤(親水基と親油基をもったもの)が使われている。
(2)合成洗剤の何が危険か?
 合成洗剤は薄くなっても界面活性作用(ものとものが接触する面に働きかけてエネルギーを大きく変化させ、性質を変えてしまう作用)が残る。界面活性作用のタンパク変質作用や微生物を殺してしまう性質が、薄くなっても持続し、分解されにくいので、人体や環境に悪い影響を与えてしまう。
(3)毎日18 g の 合成洗剤が体内に入っても安全?
 実際にどれくらいの量の合成洗剤がヒトに悪影響を及ぼすのかを調べてみた。すると、科学技術庁のデータを見つけることができた。そのデータによると、合成洗剤である ABS(合成洗剤であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、分解が比較的早い)の1日最大安全量(ヒトが一生の間に毎日摂取しても健康に影響を及ぼさない1日摂取許容量)は 300 mg/kg/day と報告している。これは、体重が60 kg の人の場合、毎日18 g の ABS が体内に入っても安全だということだ。
 しかしこの実験方法には問題がある(ABS を 0.5 % 含んだ飼料をラットに投与してデータを算出)。それはABS系の合成界面活性剤は、大豆のタンパク質や脂質と結びつく性質があり、食べ物と一緒に摂取した場合には毒性が弱められるからだ。そのため、飲料水にABSが溶けている場合などを想定しておらず、「体重 1 kg あたり、300 mg まで安全」とする根拠は危険である。
(4)合成洗剤が川に流れるとどうなるのだろうか?
【実験】
 洗濯用合成洗剤液を溶かした洗濯水を4倍の水で薄めたものを用意し、その液中にメダカを入れてしばらくするとどうなるか?
【結果】
 数十分後、メダカは死んでゆく。
【理由】
 一般に家庭で使用されている合成洗剤液の洗濯水を4倍の水で薄めると(洗濯1回の使用水量30Lに対して、洗剤20g、洗剤の40%が界面活性剤であると計算すると)、その中の界面活性剤の濃度は50ppm(0.005%)程度になる。
 メダカはえらから水中の酸素を取り入れて呼吸しているが、界面活性剤の濃度が50ppmの水中ではえらの細胞が破壊され、血液中の浸透圧調節が不能になり死にいたる。
 実験サンプルの半数が24時間以内に死んでしまう界面活性剤の濃度でいうと、メダカの成魚では6ppm、ふ化したばかりのメダカでは1ppmである。だが、日本の河川の多くは濃度が1ppmを超えていると報告されている。
合成洗剤が環境に及ぼす影響 その2