合成洗剤が環境に及ぼす影響 その2

(5)川に流される大量の合成洗剤
合成洗剤が環境に及ぼす影響 その1
 通産省(現:経済産業省)の統計によると、最近10年間の合成洗剤の販売量は年平均100万トンにのぼる。日本人一人当たり年間9kg使用していることになる。
 100万トンというと、ごみ収集車(2トントラック)で50万台分、東京ドーム3個分にも相当する。つまり、年間これだけの量の合成洗剤を河川に捨てているのである。
 日本では下水処理場はまだ全世帯数の半分程度しか設備されていないので、合成洗剤の半分はそのまま河川などに捨てられている。また、下水処理場で処理されている内の半分も、十分に分解されていないといわれている。
 このままでは、河川にますます合成洗剤の残留量が増えるだけでなく、全国の湾や海の底にも蓄積されていくことになってしまい、ヒトや家が多い都市の河川では、合成洗剤の残存量が高くなってしまう。
(6)富栄養化とは?
 湖や河川、湾内で水中のリンや窒素などの栄養塩の濃度が高くなり、植物プランクトンが増殖する現象を富栄養化という。富栄養化すると湖では水の華、アオコ、湾内では赤潮が発生して魚介類に死をもたらしたり、水道の水がかび臭くなったりする。原因は家庭排水、工場排水、畜産排水などが流れ込んだからである。
 琵琶湖はかつて富栄養化が問題になった湖で、これを食い止めるため、1979年「琵琶湖条例」(滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例)が作られ、滋賀県内で有リン合成洗剤の販売・使用の禁止をしたことは有名である。この条例と前後して、合成洗剤の助剤として使われていたリン酸塩はゼオライトに置き換えられ、無リン洗剤へと切り替わっていった。
 この条例は、琵琶湖を守る粉石鹸使用推進県民運動連絡会議、合成洗剤研究会、合成洗剤追放を求める諸団体、婦人団体など各種団体の石鹸運動の成果として評価されている。
 しかし、合成洗剤は無リンになっただけで合成洗剤自体の生産、使用量は減少せず、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)などの合成界面活性剤の環境への放出は継続され、魚に対する影響のみならず、水道水へも混入し、広範囲の水質汚染を引き起こしている。
 日本の洗濯用の合成洗剤は、沖縄県を除いて、おぼ100%「無リン化」しているが、最近の傾向として、台所用の合成洗剤での手荒れを防ぐ目的で、アルキルアミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルベタインなど、窒素主体の界面活性剤が多用されている。
まとめ
 海や川に流れ込んだ合成洗剤は、生息する生物の繁殖能力、増殖、栄養の吸収などの機能に影響を少なからず与える。
 私の調査によると、合成洗剤よりも石鹸の方が環境に与える影響が少ないので、できるだけ石鹸を使うべきである。
【参考文献】
『石鹸と合成洗剤』 著者:長谷川 治 合同出版(2000年)
『合成洗剤Q&A』 著者:合成洗剤追放全国連絡会 ラジオ技術者(1991年)